仕込み
| 清酒造りは段仕込といって蒸米を何回かに分けて仕込みます。これは、酵母を健全に増殖させてゆくためです。最初に仕込むものを酒母といい、培養された酵母はこの段階で加えられます。それに添(そえ)仕込、仲(なか)仕込、留(とめ)仕込を順次加えていきます。仕込む米の量は、酒母:添:仲:留はおよそ0.5:1:2:3の比率です。速醸系酒母の場合7日〜14日で酒母ができ、小さな添タンクに移して添仕込を行います。その翌日は踊りといって酵母の増殖を促すために仕込を行いません。踊りの翌日、本タンクに移して仲仕込を行い、さらに翌日留仕込を行います。酒母から留仕込までそれぞれに麹と掛米を仕込みますが、麹の比率(麹歩合という)は総米に対しておよそ2割です。また、仕込水(汲み水ともいう)もそれぞれの仕込の際加えます。 清酒醪では、麹の酵素が働いて米のデンプンをぶどう糖に分解する「糖化」と、できたぶどう糖を酵母がアルコールに変えてゆく「醗酵」とが、同時進行して行きます。これを「並行複醗酵」と言い、世界中の様々な醗酵方法の中でも大変高度な技術であると言われております。ちなみに、ワインはブドウに最初からぶどう糖があり醗酵だけが行われるので「単醗酵」、ビールは麦芽の酵素による糖化を完了させたのち醗酵を行うので「単行複醗酵」と言います。 日本酒:・米のデンプン ---(麹の酵素)--> ブドウ糖 糖化 (糖化と醗酵が同時進行) 「並行複醗酵」 ・ブドウ糖 ---(酵母菌)--> アルコール 醗酵 ビール:麦のデンプン --(麦芽の酵素 糖化)--> 麦芽糖---(酵母菌 醗酵)--> アルコール (糖化が完了後、醗酵を始める) 「単行複醗酵」 ワイン:葡萄のブドウ糖 ---(酵母菌)--> アルコール 醗酵 「単醗酵」 |
| 前もって吸水試験を行い、目的とする水分%になるよう水温を調節してストップウオッチで時間を計りながら洗米浸漬を行います。これを限定吸水と言います。ちなみに、35%精白の「山田錦」は6分間程度で目的の水分に達します。過ぎると過吸水となり良い蒸米になりませんので、限定吸水は失敗の許されない真剣勝負です。 |
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| 甑(こしき)で丁寧に60分程蒸します。米の種類や精米歩合、麹米か掛米か、天候などで蒸気圧や蒸し時間を調節します。 |
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| 酒母(「もと」ともいいます)は酵母による醗酵の始まりでまさに酒の母です。ここでお見せするのは、高温糖化酒母という速醸系酒母です。お湯で水麹(事項参照)を行った酒母タンクに高温の蒸米(掛米)を投入し、保温して一気に麹の酵素を働かせて蒸米の糖化を行います。温度が下がったところでフラスコ培養した酵母(喜多屋では蔵付き酵母から分離したオリジナルの「喜多屋酵母」を使用)を加えて再び保温し、およそ10日かけて酵母を育てます。 |
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| 酒母、添、仲、留、いずれの仕込みでもタンクに投入する順番は、仕込水-麹-(しばらくおいて)-掛米の順です。これは麹の酵素をいったん水に抽出して、後から投入する掛米に吸わせるためです。仕込水に麹を投入する作業を水麹と言います。麹菌はこの段階で働きを終えており麹菌により生産された酵素が醪(もろみ)の最終まで働き続けます。米は吸った酵素によって外からではなく内部から溶けていきます。 |
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| 「添仕込」は仲・留を仕込むタンクとは別に、小振りのタンクを用意して仕込みます。いきなり大きいタンクに少ない物量を仕込むと、上部空間が広すぎて醪が冷え込んでしまうからです。仲仕込・留仕込でも同様ですが、仕込水も掛米も仕込後に目標の醪温度になるよう品温を調整して仕込みます。添仕込終了後は、タンクごと布団で包み込んで保温し、翌日は「踊り」といって、仕込を行わず酵母の増殖を促します。前述の通り酒母:添:仲:留はおよそ0.5:1:2:3の比率ですから、添仕込の際は、酒母(0.5)に添(1)が加わるので物量は3倍になります。同様の計算をすると、仲仕込の際は(1.5+2)/1.5=2.3倍、留仕込の際は(3.5+3)/3.5=1.9倍です。つまり、添仕込の際は物量が増える比率が仲・留より大きく、翌日では酵母の増殖が追いつかないので「踊り」が必要なのです。添仕込は醪温度が10〜13度になるように仕込み、踊りで13〜16度まで温度をのせます。いずれの温度も、精米歩合が低くなるほど(高度精白した米ほど)低くなります。 |
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| 喜多屋では特定名称酒の仕込には主として、タンク単体ごとに冷凍機を備えさらに冷却水の温度を可変出来るタイプのサーマルタンクを使っています。大吟醸酒の仕込には、開放型のステンレスタンクの中に更にステンレスタンクを入れて二重タンクにして、タンクとタンクの間に冷水や氷を入れて温度コントロールする技法も用いています。 |
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| 踊りの翌日仲仕込を行い、仲仕込の翌日留仕込を行います。仕込温度は徐々に下げていきます。仕込み温度は仲仕込で8〜10度、留仕込で6〜8度です。添と同様に、いずれの温度も、精米歩合が低くなるほど(高度精白した米ほど)低くなります。 |
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