手塩に掛けて醸した清酒を、ベストな状態で愛飲者のお手元に届けるためには貯蔵管理が極めて重要です。一般的な清酒は貯蔵に入る段階で「火入れ」(65〜70度の低温殺菌)を行います。この目的は、麹由来の酵素を失活させることと、清酒を腐敗させる微生物である「火落ち菌」を殺菌する事です。しかし酒は生き物ですから、火入れ後も味は変化して行きます。1年間を通じて全く同じ味と言うことはあり得ません。適切な温度管理を行った貯酒(常温でそのまま置いて良いものではありません)を行うことによって、春から秋に向けてより味わいの深まった旨い酒に熟成して参ります。
一般的に香りの高い吟醸酒ほど低い温度で貯酒してやる必要がありますが、もちろん低ければ低いほど良いというわけではなく、その酒質に応じた貯酒温度を選択してやる必要があります。
生酒の場合は、麹由来の酵素が生きたまま残っておりますので、長期に渡っておいしく管理するためには、0度以下の温度に置いてやる必要があります。マイナスの温度でも生酒はゆっくりとまろやかに熟成して行きます。0度以上の温度だと酵素が働くことで、「生老香(なまひねか)」や「むれ香」等の劣化臭を発生させてしまい、酒はだれてしまいます。
これらの問題を解決するために、喜多屋では純米酒以上の特定名称清酒は全て、タンク単体ごとに温度管理ができマイナス温度での貯酒も可能な「サーマルタンク」を使用しています。また普通酒もタンクに冷却水をまわすなどの方法で温度コントロールした貯酒を行っています。 |